【近況】

「11.10」
しかし、那覇も夜は少し涼しくなったが、
8日ぶりに吉祥寺に戻ったら、
もっと涼しくなっていた。
日も短くなったし、
もうすっかり秋だなあ。
どこか紅葉でも見にドライブにいきたい。

今週号の週刊文春で取り上げてるのは、オノナツメだ。


ちょっと冗談っぽく書いてるが、面白いのはほんと。

那覇事務所は、神里原(かんざとばる)というところにある。
昔の赤線地帯だ。
那覇には、神里原、十貫寺(じっかんじ)、栄町と、
三カ所かつては悪所があったが、
そのひとつだ。
終戦後のバラックがそのまま残り、
ついでにお姉さんたちも残ってしまった。
何度も修繕し建て増し削り塗り直したバラックが、
このあたり一帯に何十軒というか何百軒というか
ぎっしりと建っている。
そこに24時間営業で、ドレスのお姉さんたちが蠢いている。
若くて50代、上は80代まで、
朝から昼間からもちろん夜も、
通りかかる人を引っ張り込もうとうろうろしている。

以前、那覇の友人ふたりと「センス」という店に入って、
60代のお姉さん方の饗応を受けたのだが、
70代のママは、午前2時にいったのにまだ出勤していなかった。
そのうちまたいこうと思っていたら、
いつの間にか店が替って、「あい」という店になっていた。
そこがなんとブログをやっていてびっくりしたのだが、
どうやら神里原で最もヤングのお姉さんたちがいるらしい。
30代から40代である。
じゃあそこにいってみるかと、
今日は午前1時に待ち合わせて、4人で出撃した。
サッカーバーのマスター、ヒロと、
桜坂のバーのマスターのジュンとその彼女、
そしてぼくだ。
ところが、あいは休みだったのだ。
さてどうしようかと考えていたら、
路上にたむろしていた「カフェーこはん」の3人組に誘われる。
実はここもそのうちいってみようと思っていた店だったので、
ちょうどいい機会だし、入ってみることにする。
店はかなり古いが、結構広くて、今は使っていない二階もある。
以前は駐車場にしているところも店だったらしい。
お姉さんも10人以上いたそうだ。
今は、5人。
今夜は、ママを入れて3人。
ママは、90歳だと言い張っているが、80歳ちょっと前くらいか。
お姉さん2人は、アラ50くらいかな。
このあたりでは若いほうだ。

席に着くと、なにを飲むか聞かれる。
ビールは一本千円、泡盛ボトルは、安い方で8000円。
何度もくるわけではないのでビールを頼むと、
ボトルを入れろとしつこいくらい薦められる。
ママがやり手で、とにかく注文させようとする。
ビールがくると、すぐお姉さんたちにもどんどん飲ませ、
ちょっとグラスが空くと、さっと注ぎ足す。
うっちん茶飲んでもいいかと聞いて
缶入りを開ける。
この店をもう35年やってるそうだが、
商売繁盛の秘訣を見たね。
カラオケをやれとしきりに薦めて、
面倒なので断っていたら、
自分で曲を入れて歌い始めた。
レーザーディスクだ。
「アカシアの雨がやむ時」
スタートが一小節も遅れていたのに、
歌い終わったらちゃんと伴奏と合っているあたり、
芸術的に年季が入っている。
ママは糸満の人、
年上のお姉さんは、ヒロの中学の先輩だった。
若いほうのお姉さんは、まだ入店3日目。
昔の神里原の話なんかをしつつ、
1時間くらいで帰ることにする。
ママはしきりにもっとビールを飲めと薦めるが、
ビール2本ずつ飲んだら1万円になっちゃうからな。
ここで1万円使うのは、どう考えても無駄だ。
じゃあお勘定して、領収書は「石川」で。
そしたら、お勘定は5000円で、
領収書は書くのが難儀だから出したくないという。
まあしょうがないなあ。
というわけで、カフェーこはんの探訪は終わった。
次回こそは、超ヤングの店あいにいってみるぞ。
店を出たところで、ヒロたちと別れて、
さあ帰って仕事だ。
ヒロたちはまだ飲みにいくんだろうな。
まだ午前2時、宵の口だからな。
ところで、センスのママは、去年亡くなったそうだ。

大綱に沿道の大観客がとりついて、
あとはスタートの合図を待つばかり。
地元民と観光客と米兵とその家族。
頭上につり下げられていた巨大なくす玉が割れた!
紙吹雪と風船が散る。

ええと、スタートはいつなんだ。
みんな呆然と待ってると、
突然綱の上に立った男たちが大声を上げ始める。
どうもくす玉が合図だったらしい。
そんならそういってくれればいいのに。
一斉に綱を引き始めるんだけど、
みんなばらばらに引くんで、
ぜんぜん動かない。
そのうち男たちがかけ声をかけ始めるんで、
それに会わせて引けということだなとみんな理解して、
一斉に引く。
でも、声に合わせて引くのか抜くのか、
どうもわからなくて、綱の右と左で引くタイミングが反対だ。
おまけに、責任者らしい爺さんが、
ハンドマイクで独自にかけ声をかけ始めて、
どれに合わせればいいのかわからない。
時々偶然に、全員のタイミングが合った時に、
ぐぐっと綱が動く。
それを何度か繰り返して、
引いてる側がなんとなくタイミングを合わせて、
ぐいぐい引く。

何十年もやってるんだから、
声をかけたらこのタイミングで引いてくれと
最初にいっとけば、ぜんぜん違う結果になると思うんだが、
まあそれも含めて伝統だ。
30分勝負だと最初にいわれたんで、
30分もこの重労働をやるのかと
体力の心配をしてたんだけど、
10数分で終わってくれた。
どうして終わったのかはよくわからないが、
たぶん何メートル以上の差がついたら
その時点で終わりと決まってたんだろうな。
ぼくの参加していた東が勝ったんだけど、
終わった瞬間に、
米兵グループは綱の上に駆け登って記念写真を撮り合い、
地元民はポケットからナイフやら包丁やらノコギリやらを取り出して、
綱を切り取り始める。
この綱の切れ端が、
商売繁盛のお守りになるのだ。

ぼくも切ってた人のを手伝って、一房貰う。
その後街を歩いてると、
手に一本持ってる人や、
サンタクロースかと思うほどの大量の綱を担いでる人がたくさんいた。
たくさん持ってる人は、
近所や親戚(門中)や飲み屋に配るらしい。
その後、奥武山公園で屋台飯を食い、
花火大会に備えた。
三日間、花火大会が続くのだ。
花火が始まった。
目の前で上がるので、凄く綺麗だ。
しかし、花火大会は、3分だけであった……。
予算がなかったんだな。
三日間とも、3分だけであった。
今年の那覇まつりは終わった。
初めて綱も持ったし、
なかなかいい祭だったな。

3連休は那覇まつり。
いろんな行事があるんだけど、
中でも、大綱引きはメインイベントだ。
今年はちょっと参加してみた。
那覇在住の小ネタ超特急ふたり組という仲間がいたからだ。
58号線の久茂地交差点を真ん中に、
東西に分かれて巨大な綱を引く。
直径1.5メートルくらいだったかな。
長さは200メートルくらいあると思う。
4時スタートだったので、
3時ごろからぶらぶらと向かってみたら、もう凄い人。
広い58号を埋め尽くしている。

中央分離帯を取っ払って、
そこに東の綱と西の綱を置いてある。
太い綱からは細い綱が何本も出ていて、
参加者はそれをみんなで引くのだ。
それに先立って、エライ人たちの挨拶がある。
沿道の観客は、すぐ地面に座り始めた。
沖縄の人はこらえ性がないから、すぐ座る。
旗頭という各地のシンボルを太い竹竿の上につけたものを
みんなで持ち上げて練り歩くものがある。
これも長い。

責任者らしき爺さんがもう早く引っ込めと拡声器で怒鳴っても、
みんな長くやりたいんで、なかなか引っ込まない。
それが終わると、空手と少林寺の演舞が、東西交互に延々と続く。
その次はなんだっけな。
親方の出番か。

東西から御輿に乗って親方が現れ、
真ん中で闘う。
さあやっと綱引きだ。
といっても、まだ準備がある。
綱の先は丸く輪が作ってあって、
それをくっつけて重ねて、シンバリ棒を入れなくてはいけない。

とにかく前戯が長いのだが、
それを観客に協力させる責任者の爺さんが、
拡声器で叫んでるんだけど、
なにいってんだかよくわからない。
何十年もやってるんだから、
もう少し的確な指示ができるだろうと思うんだけど、
役員に指示するのもスタッフに指示するのも観客に指示するのも、
全部同じしゃべり方で、誰に話してるのかもいわないんで、
意志が伝わらなくって、効率が悪いったらない。
まあそれも伝統だな。
さあ、今度こそ開始だ。
沿道の万単位の観客が一斉に綱を掴んで、
合図を待っている。

なんだかノートでネット開くと凄く重くて、
おかしいなあと、ふと下のバーを見たら、
ネットワーク接続のアイコンに×がついている。
え……、ネットにつながってるのに、と
右クリックで
「利用できるワイヤレスネットワーク」を表示させてみたら、
ワイヤレスネットワークをふたつ拾っていて、
そのうちのうちの電波らしいものに
「接続していません」という表示が出ている。
しかし、その表示をアクティブにしてみると、
でも、「切断」という選択肢が出て、つまり接続されているのだ。
「修復」してみても無駄。
どうも、接続されていないという以外は問題なくつながってはいるが、
ものすごく重いということなのだ。
ダイアルアップかと思うくらいだ。
わからん……。
かなり困るんだよな、これ。
検索するのが大変だし。
もうひとつ、FLASHが使えない。
FLASHプレイヤーの必要なサイトにいくと、
FLASHの7だか以上が必要だといって
ダウンロードサイトを教えられる。
でも、ダウンロードしても、やっぱり見られないのだ。
これも困るんだよなー。
見られないサイトがたくさんある。
どうもいつまで経っても、コンピュータは謎なんだよな。
それにしても、ソフトバンク情報が密かに流れてるが、
真実はどうなんだ……。


土曜日は混むなあ。
あんまり曜日の意識がないんで、
空港にいって、手荷物検査が混んでて驚く。
おまけに、なかなかこない客がいて、
かなり遅れて出発するし。
「陰日向に咲く」を飛行機の中で読んだ。
なるほど、こういうものだったのか。
文章が下手で技術が足りなくてインテリジェンスがないが魅力がある。
ちょっと全体の構成が、
昨日まで書いてた小説と似てるところもある。
これでうまくなると、魅力が増すのか薄れるのか。
週刊文春のコラムがつまらないだけに、
ちょっと先が読めないなあ。
那覇に着いたら、もう夜。
でも暑い。
偶然なんだけど、那覇まつりの真っ最中だ。
明日は久茂地に大綱引きを引きにいく。
お守りの綱を貰ってこないとな。
晩飯を桜坂のインドカレー屋で食べる。
ナンもカレーも下の上くらいか。
もっと美味しいものを作ればいいのに。
市場を通って帰ってくる途中で、
じーまーみ豆腐屋がまだ開いてたので、
朝飯用にひとつ買う。
半野良のクロネコと白黒猫がうろうろしている。
ミミみたいな白黒顔の子供が2匹。
細い……。
カフェストリートに明かりがついてたんで覗いたら、
店長が新メニューを考案中だった。
胡麻とバニラアイスのドリンクだったけど、
美味しくない。
いくつか改良点をアドバイスして、
豆を買って帰る。
市場の上の下駄履きアパートを見たら、
窓の猫のシルエットが。

沖縄の猫は、みんな痩せてて尻尾が長い。

小説が、だいぶ遅れたけ、どやっとできた。
小説宝石で書いてきたこの那覇が舞台の話は、
とりあえずこれで終わる。
全部で6本だ。
少し手を入れてトータルなイメージを合わせて、
単行本にするつもり。
タイトルは「パラダイス通りへ」かなあ。
短編集ではなく、
ひとつの世界を6通りの方向から見た話だ。
ちょっと面白い試みだったと思う。
沖縄の言葉に苦労したけど、
なんとかそれほどおかしくなくは書けたと思う。
今の那覇に住んでる若い人は、
かなり標準語に近くて、
それでもうちなーぐちも残っている。
というあたりが難しかったけど、
まあ標準語で話したっていいんだけどね。
言葉をリアルに書くかどうかってことがメインの話じゃないんだから。
「秘密の本棚」の後に出すんで、
刊行は来年になると思う。
デザインは、あの人に頼もうと思っているが、
まだ頼んでないんでどうなるかな。

モーニングの次号予告を見て驚いた人は、きっと多いな。
浦沢直樹が、小学館から講談社に移るとは。
専属契約していたわけじゃないだろうが、
小学館の人というイメージがあった。
モーニングがどう引っ張ったのか、興味がある。
でも、それよりも、予告に
浦沢直樹+長崎尚志と出ていたのに、もっと驚いた。
長崎は、元小学館で浦沢の担当者だった。
スピリッツの編集長まで務めたが、
ここでは書けないことがあって、フリーになった。
浦沢とは共同制作している。
それが、裏方ではなく次号予告に大きく表示されるようになった。
もう作者とほぼ同等の扱いということだ。
ふーむ。
なんだかいろいろ感慨があるな。
それだけではない。モーニングは、西遊妖猿伝も始まる。

諸星大二郎だ。
凄いなあ、あっちとこっちだ。
と思ったら、Boichiまで始まる。
サンケンロックで、ストーリーはつまらないが絵がなんだか凄いなと思っていた。

読み切りは描いていたがついに連載か。
モーニングはなんでも取り込むなあ。
望月峯太郎と吉田聡も始まるんだけど、
あんまり印象に残らないくらい、ほかのメンバーの印象が強いな。
勝負かけてきたな。