1月29日、札幌は上天気だった。
空港にマンガ夜話の初代ディレクターといっしょに到着。
エコノミーだったので、超きゅうくつ。
予算がなかったのかもしれないけど、
体積のでかい大月と岡田とぼくは、スーパーシートにしてほしい。
迎えがきているという話だったので、きょろきょろしてたら、
年食った運転手がいた。
ワンボックスカーのタクシーに乗せられて、札幌市内に。

2時半に会場に到着。
プレゼントがいくつか届いている。
花もあるし、食べ物もある。
リポビタンDもある。
とりあえず弁当を食べる。
スタッフはみんな前日入りしていて、もう控え室でうろうろしている。
夏目房之介が、赤い顔してふらふらと入ってくる。
「風邪ひいた……」
ゆうべ発熱して、朝5時まで下着を何度も替えてたという。
「もう持ってきた下着なくなっちゃったよ……」
声に力がない。
大月が医者にもらった風邪薬を持ってるから、と夏目に渡す。
他人の薬でいいのか、という気もしないではないが、まあないよりいいか。

客入れが始まった。
どのくらい入ってる?
NHKの東京スタッフは、入りがやはり気になる。
会場に入って、リハーサルが始まる。
頭から、順番に呼ばれて前で話して席に着くまで。
それから、応募ハガキを見ながら、席で順番にひとことずつ。

一旦控え室に下がって、時間を待つ。
今日は原作の矢作俊彦も客席にきてるという話だったが、
どうも結局こないようだという。
どうでもいいんだけど、仰々しく予告して、
「くれぐれもいしかわにいっとくように」という伝言まで寄越して、
結局こないのかあ。

時間がきて、舞台脇に呼ばれる。
地元アシスタントの小嶋さんが出ていって、前説を始めるが、
シーンと引いているのがわかる。
岡田と、「前説が引かしちゃいかんよな」、とこっそり話す。
大月が出ていくと、やっと客席も盛り上がる。
しかし、ここまでが、長い。
既に15分くらい経っている。
こんなに引っ張る理由がどこにあるんだ。

呼ばれて、順番にでていく。
まず、ぼくが出て、舞台に立って、大月・小嶋と3人で、ちょっと話す。
岡田が出て、夏目房之介が出て、
やっと「マンガ夜話ライブin札幌」スタートだ。
今回は、前半で『気分はもう戦争』を取り上げて、
後半で、楽屋話というか、裏話をやる予定。

実は今回、原作を書いた矢作俊彦が会場にくるという話だった。
本人がそういうファックスを送ってきたのだ。
くれぐれも、いしかわにそういっとくように、といってきたのだ。
だから、注意して客席を見ていたのだが、結局、きてはいないようだった。
少なくとも、ソフトをかぶった客はいなかった。

大友は、このあたりまでが一番魅力があったし、
面白かったと、個人的には思う。
このころ書かれた短編群や連作は、ほんとに好きだった。
魅力のある絵だったし、アイデアに溢れたストーリーだった。
ぼくも含めて、当時ニューウェーブと呼ばれたけど、
大友はまさにニューウェーブだったなあ。

作品についてや、大友個人について、いろいろ話す。
近所に住んでるので、大友の奥さんとは、たまに近所で出くわす。
それを通じて得た秘話も話す。
どんな話かは、内緒。
矢作の話も、ちょっとする。
矢作は、今は小説家だが、かつてはアメコミ風の漫画家だった。
夏目房之介が、時々寝ていた。
ほかのメンバーが喋っている間、完全に気配を消していた。
あの頃が、一番きつかったんだろうな。

かなり時間を押して、後半の裏話に突入。
これがまた、異様に盛り上がった。
今まできたゲストで、誰が一番嫌なやつだったか、とか
一番困ったのは誰だったか、とか、
そういう話がうける。
誰が一番嫌だったかというと、ぼくは、磯野キリコだった。
頭の回転が速いだけで頭が悪い。
こういうのが一番たちが悪い。
でも、普通のバラエティなんかでは、一番重宝されるんだろうな。
内容はなくても、ずっとなにか話していられる。

もう、時間オーバーだ。
舞台下で、東京から出張してきたディレクターが、
早く終われというサインをずーっと出し続けているが、
みんな無視して話す話す。
夏目房之介は、風邪ひいてることなんか忘れて、
どんどん顔色がよくなってくる。
結局、2時間の予定が、2時間40分もやってしまう。
やってて楽しかったし、観客のうけもよかった。
札幌NHKの人たちは、ぼくらが構成を無視してただ喋っているだけで
客席がうけ続けているのが不思議だったらしい。
そういう番組なんだし、そういう客なんだよな。

控え室でちょっと休憩。
トイレにいこうと廊下に出たら、数人のファンが待っていて、
ぼくがちょい役で出た映画のパンフをいくつも取り出し、
そこにサインさせられる。
ちょっと恥ずかしい。
札幌オフ会幹事のあさまつさんが顔を出す。
彼女は弁護士で、急遽、岡田が現在手がけている仕事の件で
取材させてもらうことになったらしい。

タクシーに分乗して、すすきのの和食屋へ。
鯉が売り物だと看板に書いてあるので、ちょっと不安になる。
カニは大丈夫か。
しかし、それは杞憂であった。
鯉と鮭とソンと八角の刺身盛り合わせがまず出て、
脂ののったキンキやホッケに続いて、
カニだー。
ところが、みんなあんまり食べないのだ。
ぼくは魚好きなので、どんどん食べ尽くす。
そしたら、余ってるカニが、いくつも回ってきた。
調子に乗って、ばくばく食べる。
3人前半食べて、力尽きた。
当分、カニはいいや。

食事が済んだら、もう真夜中。
前の夜、ほとんど寝てなかったので、ちょっと疲れた。
夏目はまだ熱があるので、タクシーで、ぼくらは雪の街を歩いてホテルに向かう。
今年は雪が少ない年らしいが、
それでも、暖かい国からくると、交差点に積んである雪山が珍しい。
すすきのの真ん中は、なんだか派手だ。
ネオンがデカイ。
大阪のミナミあたりの派手さと似てるかもしれない。
ビルの壁面全部がネオンだったり、それが墓石の広告だったり、
なんだか基準がよくわからない。
雪祭りを1週間後に控えた作りかけの会場を横目で見て、ホテルへ。

風呂に入って、ちょっと本を読んで、寝ようと思ったのだが、
いつもと寝る時間が違うのと暑すぎるのとで、寝られない。
とにかく、部屋が暑すぎる。
暖房は切ってあるのに、裸になっても、まだ暑い。
ドアを開けて、廊下の少しは冷たい空気を入れるが、効果なし。
札幌グランドホテル、暖かけりゃいいってもんじゃないぞ。
仕方ないので本を読んでたら朝になってしまった。
7時ころになって、やっと少し寝る。
10時に起きて、慌てて顔を洗い髭を剃って着替えて、チェックアウト。
フロントに降りたら、NHK組がみんな揃っている。
ほかの出演者は、それぞれどこかへいったらしい。
ぼくはオフ会があるので、近くの会場へ。
でも、途中まで、中央公園の雪像をみんなで見ながらいくことにする。
作りかけの像は面白い。
おまけにすいてる。
雪祭りは、完成前が狙いだね。

オフ会の会場着。
「巨ホ川商店様」という看板が出ている。
地下に降りていくと、もうお座敷に人が集まっている。
ちょうど時間ぴったりくらいだと思ったんだけど、
ぼくが一番遅かったらしい。
幹事のあさまつさんに導かれて、一番奥の席へ。
「綺麗どころに囲まれるようになってますから」といわれる。
確かに、まわりは女の子ばっかりの席だ。

http://www.asahi-net.or.jp/~yd7k-itu/spoff/spoff1.html
[ここにも写真]

〔札幌NHK控え室〕

〔同じく控え室〕

〔打ち上げでカニを死ぬほど食う〕

〔ライブのアシスタント小嶋さん〕

〔ホテルの前。雪が少ない〕

〔札幌オフ会きれいどころ〕

〔真ん中にいるのは高校生〕

〔東京オフ会資料用アンケート〕

〔実は、男もいる〕

〔記念撮影〕

〔ここに並んで、ひとりずつ記念撮影〕

〔雪祭り準備中〕