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サイン回のブースは、ブースとして作ってある場所が、
会場のそれぞれの端に6か所、
それから、会場中央の「ホール・オブ・フェイム」に一カ所、
あとは、ケージマッチ用のケージに囲まれた一画に一カ所、
全部合わせて、8か所ほどある。
「ホール・オブ・フェイム」というのは、まあプロレスの殿堂だ。
かつての有名レスラーのコスチュームや私物が飾ってある。
アンドレ・ザ・ジャイアントの服が飾ってあったが、
巨大すぎて壁紙みたい。
その脇に机を出して、年老いたレスラーたちがサインしている。
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いや、現役のレスラーもやっていたな。
ジャイアント・キマラが、フルメイクに腰蓑のコスチュームで、
発見者のリビングストン帽をかぶったマスクマンと通訳の男という
知ってる人は知ってるフルメンバーで並んでいた。
サインしてるのは、キマラだけだったけど。
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そこでは、二組のサインをもらった。
まず、メイ・ヤングとファビュラス・ムーラの、女子プロレスの大御所だ。
ふたりとも老婆といっていい年だ。
でも、ヤングはいい年寄りなんだけど、ムーラは、まだまだ生臭い。
ヤングは左利きで、縦に文字を書いていた。
もちろん、縦に横書きしているわけだ。
「あれ、左利きですね」といったら、顔を上げて、
「イエ〜ス」とニッコリ笑って応えてくれた。
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もうひと組は、男だ。
ジェリー・ブリスコとパット・パターソンと、もうひとりだ。
このもうひとりが、誰だかわからない。
この向かって一番右の爺さん。
見たことのある顔のような気もするのだが、いくら考えてもわからない。
もらった金釘のサインを見ても、まだわからない。
こんなサインだ。
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6か所のサインブースに、どんどん並んでいろんなレスラーのサインをもらう。
誰かのサインを自分に意思でもらうなんてことは、
子供のころに中日球場で国鉄の金田のサインをもらって以来だ。
Xパックのサインをもらう。
彼はかつて、日本のインディー団体に何度もきている。
ライトニング・キッドとか123キッドとかいう名前で出ていた。
線が細くて不安定な空中殺法しかできず、当時はまさにインディークラスだったのだが、
いつの間にか力をつけた。
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特設リングでは、1日に2回くらい、プロレスもやる。
アンダーカードとかダークカードとか呼ばれる、
プログラムの下の方のレスラーが、レッスルマニア本番では出ないで、
代わりにここでやるのだ。
ここで一番たくさんでていたのが、「カイエンタイ」だ。
もちろん、日本人だ。
タカ・みちのくとショー・フナキのふたり組。
日本の「みちのくプロレス」 でやってた「海援隊」というグループががアメリカにいき、
WWFである程度の人気を得ていたのだが、
何人かは解雇され、何人かは帰国の道を選んだ。
タカは、残るのを選んだのだ。
フナキは、「バトラーツ」にいたこともある。
ふたりとも、かなりプロレスはできるほうだ。
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テレビで見る限りでは、WWF内でそういい位置は与えられていないものの、
確実に定着はしている。
お笑い担当で、技術がしっかりしてるから、
ふざけたプロレスやっても怪我しないという特徴がある。
英語も喋れない間抜けな日本人ふたりという役割だ。
タカは、プロレス用語で田吾作スタイルという膝下のタイツをはいている。
これは、アメリカンプロレスでは日本人が伝統的に穿くことになっている。
二人で出てきて、マイクパフォーマンスをするのだが、
英語が喋れないんで、吹き替えをしている。
つまり、タカが日本語で喋り、スピーカーからは英語が流れるのだ。
そしてフナキにマイクが渡され、フナキもなにか喋るのだが、
スピーカーから流れるのはいつも、「INDEED」だけである。
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3日間で4プレイベントに参加して、ずいぶんいろんなレスラーのサインをもらった。
感心したのは、レスラーたちがハンディキャップのある人たちに優しいことだ。
人気レスラーの前には、当然のことながら行列ができる。
2時間3時間待ちは当たり前である。
それ以上になると、もう持ち時間が終わってしまうので、並んでも無駄だ。
車椅子の人たちは、舞台の横にきて待っている。
レスラーたちは、しばらく列に並んだ人たちにサインをしてから、
ちょっと待っててくれと手を上げて、舞台脇に降り、
待ってた車椅子の人達と話し、サインをし、いっしょに写真を撮る。
ずいぶん長くかかることもあるが、
列に並んでいる側も、それを当たり前のこととして待っている。
タトゥーを入れたり体中にピアスをつけたり、
かなりガラの悪そうな客も多いが、そういう社会的訓練は、きちんとできている。
レスラーの側も、
どう見ても高学歴でいい教育を受けてきたとは思えない連中も多いのだが、
当然のこととして、笑顔でハンディキャッパーと肩を組んで握手をする。
先日テレビを見ていたら、ダッドリーズやタズやジャスティン・クレディブルという、
はっきりいってブロンクスの吹き溜まりで育ったタイプのレスラーが、
荒れている地区の高校にいって、
とにかく教育だけは放棄するなと説いていた。
成功したものはあとからくるものを導くべきだという意識を持っている。
それは、日本も見習うべきだと思う。
バラエティ番組でタレントが、万引きした話を自慢そうに話したりするのは、
あとからくるものに同じ誤った道を辿らせるだけだ。
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